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CO₂濃度が過去最高に

 「ダボス会議」で知られる世界経済フォーラムは2018年1月、現実となる恐れが最も高いリスクとして異常気象を挙げています。

 異常気象は世界的な現象で、この夏、ヨーロッパやアメリカでは熱波で死者が出たり、方々で森林火災が起きたりしています。2018年7月、世界気象機関は、世界各地で記録的な猛暑が広がっていると発表、極端な異常気象はしばらく続くと警戒をよびかけました。

 

 異常気象の原因には、そもそも大気や海流の影響で起きる内部変動と、外部からの要因が考えられます。原因が内部変動だけなら長期的には平均化されますが、日本国内の雨量を見ても、世界の平均気温を見ても、明らかに上昇傾向にあります。外的な要因としては人間活動による温室効果ガス排出を考え合わせないと異常気象は説明がつかないのです。

 

 地球温暖化の問題は100年単位で地球全体の平均気温が何度上がるというレベルの話が多く、いまひとつピンとこなかった人も多いかもしれません。しかし、平均気温の上昇に伴って、激しい気候変動や異常気象による災害が頻発することは、以前から警告されていました。それがいよいよ現実のものとなってきている可能性が高いのです。

 

 記憶に新しいところでは、カリフォルニアの火災です。これは、世界の先進国が大気中にCO₂を排出し続け、地球温暖化したことに起因します。カリフォルニアでは以前よりも雪解けの時期が早まり、風の吹くパターンも変わったために森林や草原の乾燥が進んでいます。結果、火災シーズンの期間は1970年代と比較して平均84日延びました。より多くの人々が燃えやすい場所で暮らしているのです。1990年代以降、カリフォルニア州、ワシントン州、オレゴン州内で新たに建てられた住宅の6割は、山火事のリスクの高い場所にあります。つまり、より多くの人々と住宅が火災の危険にさらされているのです。

 

 また、同じくアメリカでは、異常気象の影響で2017年に「ハービー(Harvey)」、「イルマ(Irma)」、「マリア(Maria)」という三つのハリケーンが立て続けに発生し、甚大な被害が起こっています。

 

 日本でも、「酷暑」、「激暑」とも呼べる猛暑や、進路が従来と異なるパターンの台風の到来、度重なる豪雨に「気候変動」を実感した人も多かったのではないでしょうか?日本近海の温暖化に伴って台風が衰えないまま日本列島に接近する傾向があり、これからも猛烈な台風の発生頻度は高くなると予測されています。

 

 もしわれわれが地球温暖化の問題に真剣に取り組まなければ、この先地球はどうなるのでしょうか。

 環境省が発表した2100年の未来天気予報では真夏のある一日の最高気温が東京で44度、札幌で41度と予測されています。そんなことになれば、もはや「熱中症に注意」などと悠長なことは言ってられなくなりそうです。

 因みに、私が小学生の頃は、「熱中症」という言葉もあまり使われていませんでした。同義語として「日射病」という言葉を使っていた記憶があります。

 

 では、こうした深刻な事態に対して私たちは何ができるのでしょう?

 2018年6月、一般にはあまり注目されることなく成立した一つの法律があります。「気候変動適応法」です。

 根本的に温暖化の被害を抑えるには、やはり国、更には世界全体で脱炭素社会を目指していくことが不可欠です。

 

 我々が直面する危機を克服する目標を持ち、緊急性を感じながら気候変動問題にかかわる活動を再構築することこそが、これらの災害から学ぶ最も重要な点だと言えるでしょう。