7月17日、安倍晋三首相と欧州連合(EU)の首脳は、東京都内で経済連携協定(EPA)に署名した。2019年春の協定発効を目指し、それぞれに議会承認手続きを進める。協定が発効すれば日欧双方が関税を即時か、段階的に引き下げる。様々なモノの値段が下がる中、ブランド品はイメージ戦略によって高価格が維持される可能性がある。私の予想では、エルメスの価格はこれまでとさして変わらないだろう。エルメスが値下げするとか、全く想像ができないし、ファンとしては、別にあえて値下げしてほしくもない。
今更説明の必要もないだろうが、エルメスは1873年に馬具工房からスタートしたフランス屈指のラグジュアリーブランドだ。そして、意外なことにエルメスと日本の関係は深い。実は、エルメスのフランス本社元副社長を長年務めたのは齋藤峰明さんという日本人だった。そして、齋藤さんは、とある雑誌のインタビューで、ライバル会社を日本の老舗企業である「虎屋」だと答えている。エルメスという会社は、500年続いた「虎屋」のような「老舗」たる姿勢にこそ、目標を置いているのだ。
二つの会社の共通項と言えば歴史だ。エルメスの創業は1873年なので創業は185年、立派な百年企業だ。因みに日本の百年企業は2万5000社ほど。創業200年を超える会社は3100強、虎屋のように創業500年を超える会社は40社ほどある。とはいえ、この傾向は世界の中でも特異で、創業200年を超える会社は世界でも5600弱、その半分以上を日本が占める。
ところが、このエルメスをもライバルと言わせる日本の老舗企業が今、後継者問題で苦境に立たされている。2018年5月のデータによると、創業100年を超える企業のうち、2017年度に倒産、あるいは休廃業した企業数は過去最多に上った。背景には業績悪化だけでなく、後継者不足による「黒字廃業」の例もある。老舗企業は雇用だけでなく文化的側面でも地域で果たす役割は大きい。老舗を含めた中小企業の事業を存続させようと、金融機関や企業の動きも活発化してきている。けれども、私が考えるに、若い世代の人達は、日本の伝統を守ることよりも、IT関連の事業で成功することに興味を持っているのではないだろうか。伝統文化を継承していく方が、(株)スマホで働くことより、世界的に見てもよっぽどクールだと思うのだけれど、残念なことだ。
さて、岐阜県羽島市に、千代菊酒造さんという創業元文三年(1738年)から280年続く老舗企業さん(エルメスより約100年以上の歴史がある!)がある。そこでは、毎月最終土曜日に、「280周年を迎える2018年まで続けよう!」という目標を目指してライブ「酒と音楽の夕べ」を続けてこられ、今回(7月14日)が72回目のファイナルステージとなった。一つの企業が280年続くというのは伊達じゃあない。こうしてきちんと地域密着の企業努力をしている、何事も続くには理由があるのだ。
そのライブへ私の友人が招待を受け、行ってきたよとの報告が届いた。そこで歌ったのは「かわばたゆうこ」さんというジャズシンガーさん。素晴らしい歌声だったことは間違いないだろうが、私が感動したのは、その方が骨折していたのに、バギーパンツを履き、ギブスをしているのに松葉杖なしでステージをこなしたということだ。見ている人は、誰も気づかず、ステージ後に話していて、私の友人も気づいたらしい。なんという素晴らしいプロ意識!昨年、足の指を骨折(階段から滑って落ちた)して、何カ月もビービー言っていた私とは大違いだ。
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