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買い物弱者と免許離れの若者

 買い物弱者・・・愛知県ではあまり感じたことがなかったが、“「東京で車が必要ない」という噂は、本当か?”という検証実験を行っていた私は、まさしくこの「買い物弱者」の人達と似たような境遇に立たされていた為、彼らの気持ちが少しは分かる。決してコンビニも、スーパーも自宅から遠かったわけではない。ちゃんとアシスト自転車にも乗っていた。私は普段からジョギングをしているから、体力にはまあまあの自信がある方だ。けれども、やはり車がないというのは不便だ。

 今回、農林水産省が発表した推計対象は、最寄りの食品スーパーやコンビニなどが自宅から直線距離で500メートル以上離れ、車を利用できない人。65歳以上では824万6000人に上る。同じ条件で75歳以上に絞ると全国で535万5000人が当てはまり、75歳以上の人口の33.2パーセントを占めた。

 ちょっと想像してみよう。75歳以上の人が、家でパソコンやスマホを使ってAmazonで買い物なんてするだろうか?私はしないと思う。けれども確実にお腹はすくし、トイレットペーパーなどの、重い日用品も必要だ。コンビニの宅配サービスなども利用しているかもしれないが、急に必要な物も出てくるだろうし、そもそもコンビニには売っていない物もある。それらが欲しい場合、同居している家族がいれば話は別だが、そうでない人は自分一人で買い物に行かなければならない。彼らにとっては、買い物それ自体が1日のメインイベントだろう。

 そういえば、今まであまり気にも留めていなかったが、おばあちゃんやおじいちゃんが、一人で昼間にスーパーで買い物をしているのをよく見かける。何か重い病気を患った後遺症なのか、足を引きずりながらでも道路を歩いている人も毎日のように目にする。彼らこそ、買い物弱者なのかもしれない。

 さて、話は変わるが、今の20代~30代の間では、普通自動車免許について、「持っているけどペーパー」という車離れどころか、「そもそも持っていない」「取ろうとも思わなかった」という免許離れが起きている。特に東京都においてその傾向は顕著だ。某損保会社が行った、「2017年 新成人のカーライフ意識調査」によると、17年の新成人の免許保有率は56%(!)となっている。ビックリである(+_+)

 私が成人式を迎えた20年前には、高校を卒業したら、皆すぐに自動車学校へ行った。だから、20歳の時にはほとんどの人が普通自動車免許を持ち、車に乗っている人も結構いたのだが、今は全然様子が違うらしい。

 私の友人で、20代の若者のコミュニティーを持つ30歳の男性は、こう言っていた。「今の若い子たちは、車よりも旅や体験にお金をかける。ポルシェよりも世界一周がかっこいい!という価値観を持っている。」……ふむふむ、そういうものか。

 彼らの価値観も、分からなくはない。けれども、このまま免許すら取らなかった場合、自分が将来的に買い物弱者になる可能性が確実に上がることを彼らは気づいているのだろうか。正直、心配である。うちの娘には少なくとも、これまで貯めてきたお年玉を海外旅行ではなく、免許取得の為に使わせようと思う。

 そして、私も将来自分の体力が衰えることの無いよう、健康管理と運動を続けようと思う。